スーツのような一地方の正装だった服飾品が、世界的な正装として定着している。 大抵の国ではスーツさえ着ておけば、しっかりした人だと判断してもらえるだろう。 レストランにも入れてもらえる。
同じようにどこかの民族の衣装が、世界的なスタンダードスタイルになる可能性も充分にあるわけだ。
たとえばサリーとか。 布一枚で表現する優雅な美しさに世界のセレブが夢中に! 社交界のドレスはサリーに一掃されるのであった。
編み笠なんかも良いかもしれない。 現代的にビニールで作った笠である。 雨の日も両手を使いたい多忙なエグゼクティブが、その機能性に注目! 自転車で買い物に行く下町のおばちゃんも、「片手運転をしなくていいから、おばちゃん助かるわぁ~」と絶賛!
バタフライナイフや飛び出しナイフで武装していた(古っ)街の不良も、吹き矢やトマホークをこれ見よがしに腰にぶら下げるのがトレンディーに! 手裏剣もいいな~
そして、もはやその地位を追われてしまった古き良きエリートカット「七三分け」に代わる、新たなビジネスマンのスタンダードヘアスタイルが「チョンマゲ」だ! 前髪も落としていない若造などは、アポも取れずに門前払いである。 月代を青々と剃り上げた凛々しい男たちがオフィス街に溢れるのだ。
当然現代のファッションに合わせて、パーマをかけたウェーブチョンマゲや情熱的なドレッドチョンマゲなどが、次々と生み出されていくのだ。
近い将来ハリウッドで、サリーを着たブロンドのヒロインを救うために、トマホークを振り回す編み笠の男たちをバタバタとなぎ倒す、アフロチョンマゲのエリート商社マン(アオザイ着用)の大作映画が作られるかもしれない。
ハリウッド映画だから舞台はアメリカ国内で、登場人物も典型的なアングロサクソン系アメリカ人だ。 そしてその映画を観る観客は、誰もその作品に違和感を感じないのである。
う~ん、グローバル社会万歳!
珍妙この上なし。